2016年4月12日火曜日

【読書メモ】『ブラック企業は誰がつくる?』 假谷 美香 (著) ★★★☆

珍しく、経営者側に向けたブラック企業本。
あまりお堅い本ではなく、さくさく読める274ページ。
読む人にとっては結構あたりまえな内容になってしまうが、
値段と時間からいったらアリな本だと思う。

ブラック企業認定されると、いろいろ痛いです。
また、ユニオンなんかに訴訟を起こされると、
金銭的にはもちろん、時間もすげーとられるし、心身ともに疲弊する自体になって、
それによって廃業ってのもよくあるのでヤバいっす。

でも結局、ブラック企業ってのは社員側の主観によるので、
ブラック認定されないためには、こうした方がいいですよー
・ちゃんと法律の知識を身につけましょー
・経営者と社員の意識のズレが怖いですよー

とはいえ、ホワイトを目指すにしても、もちろん収益性や存続性が最優先。
ホワイトでも潰れちゃったら給料も払えないし、社員も路頭に迷うし。

また、辞めて欲しいレベルの不良社員でも、法律には詳しい(詳しい知人が居る)という
ブラック社員というのが居るので気をつけましょー
「使ってみなきゃ分からない」なんて言わないで、ちゃんと面接しないとヤバいです。
社員の側にも、入ってもらう前に会社について知ってもらおうず。

そんなとこじゃろうか。


法律的な話で出てくるのは、すこし勉強した人なら知っているような話。
法律上の時間外労働の定義やら、有給を与える規準、
退職させる時の要件等々、知っている人には当たり前のレベル。

しかし、サブタイトル「無知な経営者と狡猾なブラック社員」にもあるように、
それすら知らない経営者が多い事が語られている。

ぶっちゃけ、中小ブラックの本質ってそこなんじゃね?
それくらい知ろうとしない不勉強な経営者って、
結局は経営についても不勉強で収益性が悪くなって、
そのツケを社員側に押し付ける───ってさ。
という様な事を、ちょっと思った。

個人的にはだが、違法というのを認識しつつも、
ちゃんと対策やヘッジをしつつ、
問題化するリスクと便益とを天秤にかけてやってしまう───という経営者の方が、
悪質ではあるが、信頼できてしまう。
能力が無い方が怖い。


あと、自分はしらなかったのが「建設業の平成29年問題」。
建設業では、昔からの流れで現場作業員を社会保険に入れていないパターンがあるが、
国は平成29年までに社会保険加入率を(段階的にだが)100%に持っていこうとしている。
そこでひと悶着ありそうらしい。

まぁそれより先に、今年、平成28年10月からパートの社会保険拡大適用があって、
パートが主力の大手は、パート減らしたり、店自体を閉めたりと、現在バタバタしている。

この辺どうなんだろう。
とりあえず短期的には景気悪くなりそう。
でも、今の政府は他にやりたい事があるのでなんとしても勝ちたいだろうし、
何かしらカンフル剤的なものをぶち込んで来たりもしそう。
分からぬ。


また、「マズローの欲求5段階節」や
「ハーズバーグの動機づけ・衛生理論」が出てきてた。

この辺は納得感のある話ではあるのだが、
その理論から相転移した「やりがい搾取」という安定状態が発見されてしまったので、
すこし古い気がしないでもない。
まぁ「ブラック企業と呼ばれないための本」としては、まったくもって正しい内容なのだがw


ブラック企業と呼ばれない為に、社員研修もしましょうって話に出てくる内容は
いくつか参考になった。
「すげぇ売り上げ出してるのに、給料安い」なんて不満をもつ社員に、
数のような図を出して利益構造を説明するのは有用だろう。

また、人間関係の理解に役立つソーシャルスタイル理論の研修も役に立ちそう。

まぁ、労働者も社会人なんだから、そんなの各人で学んで欲しいという意見もありそうだが・・・
また、この本には出ていないが、管理職にはバートルテストも役に立つと思う。


あとは「Seven Eyes Dock」という組織診断サービスの紹介があったが、
これの診断項目が分かりやすく参考になりそう。
このサービスは人間ドックになぞらえているので、
会社を人間に見立てて7つの器官を評価していく。

脳:意思決定スピード
目:価値観・方針の浸透
内臓:人材の質と量
心臓:PDCマネジメント
足腰:環境整備
神経:情報の共有と活用
血流:評価と報酬


そして最後に、「あなたの企業はブラック企業?」というチェックリストが載っている。
全20問でYESがいくつあるのかで判定。
自分が今居るところは5個未満でした。
どうやらブラックではないようです。

といっても、少数の項目だけが度を過ぎるブラックなので、
精神疾患かかったり離職率高いんすけどね・・・
でもYESが少ないのでたぶんホワイト(^q^)




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