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2016年6月26日日曜日

【読書メモ】『性格を科学する心理学のはなし―血液型性格判断に別れを告げよう』小塩真司 (著) ★★★☆

サブタイトルにあるように、血液型による性格診断に否定的な本。

根拠がないとか、統計的に差はないとか、科学的に否定するレベルを越え、
「それって、じぶんの努力ではどうにも成らない身体的特徴で差別するのと変わらない」
「ブラッドタイプ・ハラスメント!ダメゼッタイ!」と言い出す本。
素敵すぎるw

そんな素敵なつかみから入って、
性格を現す英単語の話、性格をテストする事の難しさ、
いくつかの性格の分類法の紹介、性格と環境、性格と遺伝のお話、
などをへて、最後にまた血液型占いと闘いだすw


気質、性格、人格の翻訳の難しさ

Personalityは、ラテン語のpersona(仮面)という単語に由来。
アメリカの心理学で用いられるようになった。
それより前の(主にヨーロッパ)の心理学では、
characterやtemperamentが、心理学的な個人差を表すのに用いられていた。
characterは「刻みつけるもの」というギリシャ語由来。
英語のcharacterには「好ましい」というニュアンスが含まれている。
「個性的で面白い人」という意味もある。
personarlityには「好ましい」というニュアンスはない。
心理学の研究としては、「好ましい」というニュアンスを含まない、
中立的なpersonalityを用いるほうが良いという考えから、
personalityの使用が広がっていった。

日本では、temperament(気質)、character(性格)が入ってきて訳された。
その後にpersonalityが入ってきて「人格」と訳された。
しかし、現在の日本語のニュアンスでは英語とは異なり、
人格(personality)の方に、「優れた人間性の持ち主」というような
「好ましい」というイメージがある。
そして、性格という日本語の方が中立的な意味になっている。

この事が、翻訳上すこし自体を複雑にしているとの事。
なるほど。

人格障害とパーソナリティ障害とでは、少し印象が違う・・・ような気がしないでもない。

他資料


ビッグファイブモデルの下位特性


まー一般書として読みやすく仕上がってて、読み物として良い本だと思う。



2016年6月23日木曜日

【読書メモ】『性格診断学―人の心を見抜いて上手につきあう (1984年)』長谷川 博一 (著) ★★

学術的な根拠に基づくものではなく、
著者の長年の経験による主観的な分類を説明する本。

まぁそれはそれで、そこそこ参考にはなる。
しかし、生まれの年月を重視するところには、少し疑問を覚える。

微妙ではあるが、経験に基づく上司と部下の関係などは、
他にはあまりないので、資料として価値はあるかもしれない。
 

2016年6月7日火曜日

【読書メモ】『ハクティビズムとは何か ハッカーと社会運動』 塚越 健司 (著)  ★★★★

ハクティビズムの語源のハックの起こりから書かれているような本。
いい意味でわかりやすい一般向け書籍。

ウィキリークスが2010年に米軍の機密文書約40万点を暴露するという事があり、
それを受けて2012年に書かれた本ではある。
しかし、それだけの本と捉えるのは勿体無い。

一章まるまる30pageをつかって「コンピューターとハッカーの登場」から解説してたり、
ウィキリークスや、アノニマス、2chの吉野家オフにまで振れるなど、
かなり幅広く、しかも流れをふまえて解説している。

それを200ページちょいの新書にまとめているところも評価してよいと思う。
あまり知らない状態から、一般教養的な知識を入れるのに、良い本だと思う。

個人的メモ
アレクサンドラ・サミュエルはハクティビズムの活動内容を三つに区分
①ポリティカルコーディング(political coding)
②ポリティカルクラッキング(political cracking)
③パフォーマティブハクティビズム(performative hacktivism)

目次
序章
ハッカー集団が日本を攻撃?/ハッカーと創造性/ハッカーと政治/注目を集めるハ
クティビズム/アノニマスと直接的ハック/市民的不服従/本書の構成/本書を読む
にあたって
第一章 コンピュータとハッカーの登場
ハッカーとは何者か?/ハッカーの誕生/MITテック鉄道模型クラブ/ハックにつ
いて/ハッカー倫理の形成/コンピュータへの情熱/アーパネット/アメリカ西海岸
の個性/カウンターカルチャーとその影響/フロンティアスピリット/七○年代ハツ
力ーとパソコンの誕生
第二章 ハッカーと権力の衝突
情報の秘匿と暗号化/国家安全保障局/公開鍵暗号方式の登場/暗号ビジネスと口ー
タス・ノーツ/暗号技術をネットに放流/PGP暗号/フリーソフトウエア財団/
電子フロンティア財団/サイファーパンク/ハクティビズムの誕生/サイバースペー
ス独立宣言/自律と自由/コップの中の嵐か?─カリフォルニアン・イデオロギ
ー/コップの中の嵐を越えて/ハックの進化
第三章 創造性とウィキリークス
インターネットとパソコンの普及/サイバー犯罪者、現る/サイバースペースの自治
から現実の社会改革へ/ハクティビズムの定義/政策無効化とは何か/DeCSSが
与えた衝撃/ソニー・ベータマックス事件/ウィニーと政策無効化/ハクティビズモ
/ウィキリークスの登場/情報源秘匿、リークと倫理/ウイキリークスの活動/既存
メディアとの提携/ウィキリークスの現在/リークサイトの勃興/ウイキリークスと
ハクティビズム/ハクテイビズムの三分類
第四章仮面の集団アノニマス
アノニマスとハクティビズム/アノニマスとガイ・フォークスの仮面/DDoS攻撃
という手法/チャットによる作戦会議/仮面による大義の集約/ゲーミフィケーショ
ン/スラックティビズム/大衆動員とハクティビズム/非ハッカーの参加─繋がり
の社会性/スマートモブズ/クラウド化する社会運動/オキュパイ・ウォールストリ
ート/日本とアノニマス/アノニマスが渋谷で掃除!?/ハクティビズムの新しいかたち
第五章ハクティビズムはどこに向かうのか
DDOS攻撃の破壊力/違法行為への偏向?/アノニマスとボリテイカルクラッキン
グ/市民的不服従とは何か/市民的不服従の理論とその問題/電子市民的不服従/ア
ノニマスと市民的不服従/時代精神としてのアノニマス/アノニマスは市民的不服従
として成立するか
DDOS攻撃の破壊力/違法行為への偏向?/アノニマスとボリテイカルクラッキン
グ/市民的不服従とは何か/市民的不服従の理論とその問題/電子市民的不服従/ア
ノニマスと市民的不服従/時代精神としてのアノニマス/アノニマスは市民的不服従
として成立するか
終章
サイバー戦争/サイバーテロリズム/サイバー犯罪市場は麻薬市場を上回る/ハクテ
イビズムはどこへ行く
あとがき
主要参考文献


2016年5月21日土曜日

【読書メモ】『プロカウンセラーのコミュニケーション術』 東山 紘久(著) ★★☆

『プロカウンセラーの聞く技術』『プロカウンセラーの夢分析』に続く
シリーズ3作目らしい。

前の本は評価が高いようだが、
とりあえずこの本は、どうもタイトルと中身が一致していない。

コミュニケーション術とあるが、テクニック的なところはごく一部。
むしろ、読んでいる人の内面を見直そう的な内容が多い。
なにやら、カウンセリングされてるような気分になってくるw

こちらの内面を変えろというのも、コミュニケーション術としては一理あるとは思う。
なので、完全に的外れとは言い切れないが・・・コレジャナイ感が残る。

という感じなので、タイトルに惹かれた人には評価が低くなるだろう本。


また、結局のところカウンセリング目的のコミュニケーション術。
相手側に起こってしまっている問題を解決するためのコミュニケーションであり、
交渉ごとや、こちらの意見を伝えたりするような話ではない。

そこも誤解すると、外れという評価になるだろう。


『プロカウンセラーの聞く技術』の方が読んでみたくなった・・・が、
市の図書館では貸し出し中・・・チッ

目次
1屁理屈の陰に本心あり
2否定の気持ちには肯定がある
3心は柔らかく柔らかく
4「が」をはらずに、「でも」はコントロールして
5「われわれ」「みんな」は、「私」の代名詞
6他人への悪口も身の内のこと
7理屈と人情l「それで…」の使い方!
8集団と個人
9夢は生きるエネルギー
10夢と現実l「~したい」と「~する」の区別
11孤独と除け者に、悪魔は迫る
12依存性は甘い麻薬
13楽しいお酒は依存症にならない
14ロマンの素は子ども的心
15わからないことは、意味をもとから考える
16他人の気になる欠点は、自分の潜在的欠点
17儲け話は人にはしないもの
18「男心は男でなけりや」「女心は女でなけりや」
19似た者同士はわかりやすく、異なる者同士は魅力がある
20肉体関係をもたなければ、男女でも一生の友
21秘密を守るための煙突
22自他の区別は安らぎを与える
23知ることは理解の始まり
24終着駅は始発駅
25宗教者は人間である
26内なる声と外からの声
27身体表現と感情表現l身体に聞いてみよ
28些細なことの重要性
29本音と建て前1京文化の知惠
30純粋と汚れ、正義の邪悪
あとがき


2016年5月11日水曜日

【読書メモ】『たくらむ技術』 加地 倫三 (著) ★★

TVという特殊な業界で働くこの人の働き方をずらずら書いた本。
一般人には参考になる事もあるし、ならないこともある。

っていうか、こんなのを強要されるようだと、今だとブラック臭感じるかも。
なので、逆にTV業界も大変だぁねって読んでも良い。

まぁお勧めするような内容じゃないけれど、
軽い本としてカバンに忍ばせておいて、
空いた時間にパラパラするのには良いと思う。

最後の「テレビは終わっていない」という章で、
「テレビはまだクオリティが高い」とか
「この仕事はめっちゃ面白いよ」とか書かれているが、
「クォリティを求めている視聴者はもうあまりいないんじゃ?」とか、
「作る方の面白さに目覚めたからネットが流行ってるんじゃ?」とか、
個人的には少し的外れに感じる。

そしてまた、
「終わっていない」といわざるを得ない所に終わった感を感じる。

目次めも

1…バカげた企みほど手間をかける
テレビを見てもらうための「下ごしらえ」
クソマジメに仕事を積み重ねる
ルーティーンで思考をやめない
見ている人の立場に立つ
「バカじゃないの」はホメ言葉
全てはクライマックスのために
2…企画は自分の中にしかない
トレンドに背を向ける
ヒントは分析から生まれる
「逆に」を考える
パクリはクセになる
二番煎じは本質を見失う
当てにいくものは当たらない
3…会議は短い方がいい弱
会議は煮詰まったらすぐやめる
企画はゆるい会話から
つまらない会議で質問する
反省会こそ明るく
「脳の経験値」を上げる
4…勝ち続けるために負けておく
余力があるうちに次の準備を
一定の「負け」を計算に入れておく
ピンチになったら原点に戻る
5…文句や悪□にこそヒントがある
「世間が悪い」と腐らない
怒ってもらえてありがたい
否定の意見を聞きたい
6…「イヤな気持ち」は排除する
ハードルを上げない
不快感はできるだけ消す
ネットの文句を真に受ける
「損する人」を作らない
人の生死はネタにしない
7…計算だけで100点は取れない
「段取り通り」はダメな奴
アクシデントこそ腕の見せ所
「矛盾」は人をしらけさせる
8…マジメと迷走は紙一重
悩むと脳が腐りだす
1分でも早く仕事を終わらせる
制約が効率を生む
9…企画書を通すにはコツがある
短く書いて「減点」を減らす
熱意を伝えるのはメールで
企画意図は後からついてくる
10…かわいがられた方が絶対にトク
芸人のかわいさ
口のきき方で衝突を避ける
ホメ上手はポイントを絞る
11…仕事は自分から取りに行け
あえて「遠回り」をする
キャバクラでも「修業」はできる
先輩の愚痴にもヒントがある
1つ頼まれたら2つやる
チャンスの意味を理解できるか
嫌な仕事をしたことがない
12…常識がないと「面白さ」は作れない
「面白い人」でなくていい
視野が狭い人はダメ
「言った」ではなく「伝えた」か
交渉はこちらから折れる
打ち合わせは顔色を見ながら
強い人は強さを誇示しない
悪いところがあるから良いところがある
13…芸人は何を企んでいるのか
「スくる人」も面白い
向き不向きを観察する
トークとプロレスはよく似ている
一歩引くというすごさ
14…「企み」は仲間と共に
予習と反省で進化する
「プロの仕切り」のスゴさ
「議論する」には資格がいる
誰にでも分けへだてしない
おわりにlテレビは終わっていない


【読書メモ】『ミーム―心を操るウイルス』 リチャード・ブロディ(著) ★★★

ミームっていうのは、ドーキンスが名づけた情報伝達の単位。
しかし、この本はそういったミームの定義を説明していくような本ではない。

元マイクロゲイツのプログラマーである著者が、
人間の行動にミームがどのような影響を与えるか、
どのようなミームが生き残りやすいか、
どのようなミームが広まりやすいか、等々を説明する本。

そして最終的には、ミームとのかかわりは避けては通れないので、
主体性をもってミームに対処していこうって話になる。

そんな、アカデミックというよりは、プラグマティックな本。

この本的には「ミームという概念を一般社会に伝える」という使命もあるっぽい。
なので、
ミームそのものについて知らなくとも、
「人は新しい概念をインストールされたりすると見方や行動が変わる」
というような事を知っている人には、多少は冗長的な内容になっている。

っていうか長い。マジ。
400ページ超えとかなんなの?
ミームの概念説明部分をはぶいて200ページくらいにしてくれたら、
今でもそこそこお勧めできる本になるのに。
(原書1996年、訳本1998年と、そこそこ昔の本)

まぁ砕けた文章の本で、そんなビッシリな本でもないので、
疲れた頭でも読めるのが救いか。

メモ

動物が持つ基本的衝動(141page)
闘うこと(fighting)、逃げること(fleeing)、食べること(feeding)、
結婚相手を見つけること(finding a mate)
で、これらを「四つのF」という。

起源的ミーム(145page)
危機、使命、問題、危険、好機
これらを伝えるためにコミュニケーションが進化してきたこともあり、
これらを含めたミームは伝わりやすい。

二次的ボタン(154page)
属する、自己の区別、いたわり、承認、権力への追従
四つのFを満たすために、動物が進化させてきた二次的な衝動

より適応したミーム(157page)
伝統、伝道、信念、懐疑
これらを含んだミームは、生き残りやすいし、広まりやすい。

知っていることかどうか、意味が通じるかどうか。
これは、ミームが広がるかの土壌的な重要項目。

性のボタン(203page)
主に男性編:権力、優位、好機
主に女性編:安全、責任、投資

*デビッド・バスは著書『The Evolution of Desire(欲望の進化)』の中で、
いくつかの研究結果を示し、男と女で嫉妬を感じる原因の違いについて論じている。
彼の研究では、男性の六○パーセントは、妻がほかの男と肉体関係を持つくらいなら、
精神的な深いつながりを持ってくれた方がましだと考えており、
逆に女性の八三パーセントは、夫がほかの女と精神的結びつきを持つ
くらいなら肉体的不貞を働いてくれた方がましだと考えている。(209page)
マジすか。

恐怖とそれに関係するもの(219page)
子供を助ける、同類の人、人種差別、エリート主義

ギャンブルの心理学(222page)
一か八かの試みを重視する、安保険、傾向に従う
傾向に逆らってプレイする
負けているときにはケチになり、勝っている時には気前がよくなる
直感で勝負する

都会の伝説(226page)

迷信(228page)

過去の恐怖(231page)

ミームの感染ルート(237page)
条件づけ、認知的不協和、トロイの木馬、
質問を投げかける、価値を作り出す、締めくくり、決め手の質問
親密な関係と写し出し、信用ゲーム

宗教ミーム(334page)
伝統、異端、布教、意味をなす、反復、安全、危機、食べ物、性、問題、優位、属する


2016年4月12日火曜日

【読書メモ】『ブラック企業は誰がつくる?』 假谷 美香 (著) ★★★☆

珍しく、経営者側に向けたブラック企業本。
あまりお堅い本ではなく、さくさく読める274ページ。
読む人にとっては結構あたりまえな内容になってしまうが、
値段と時間からいったらアリな本だと思う。

ブラック企業認定されると、いろいろ痛いです。
また、ユニオンなんかに訴訟を起こされると、
金銭的にはもちろん、時間もすげーとられるし、心身ともに疲弊する自体になって、
それによって廃業ってのもよくあるのでヤバいっす。

でも結局、ブラック企業ってのは社員側の主観によるので、
ブラック認定されないためには、こうした方がいいですよー
・ちゃんと法律の知識を身につけましょー
・経営者と社員の意識のズレが怖いですよー

とはいえ、ホワイトを目指すにしても、もちろん収益性や存続性が最優先。
ホワイトでも潰れちゃったら給料も払えないし、社員も路頭に迷うし。

また、辞めて欲しいレベルの不良社員でも、法律には詳しい(詳しい知人が居る)という
ブラック社員というのが居るので気をつけましょー
「使ってみなきゃ分からない」なんて言わないで、ちゃんと面接しないとヤバいです。
社員の側にも、入ってもらう前に会社について知ってもらおうず。

そんなとこじゃろうか。


法律的な話で出てくるのは、すこし勉強した人なら知っているような話。
法律上の時間外労働の定義やら、有給を与える規準、
退職させる時の要件等々、知っている人には当たり前のレベル。

しかし、サブタイトル「無知な経営者と狡猾なブラック社員」にもあるように、
それすら知らない経営者が多い事が語られている。

ぶっちゃけ、中小ブラックの本質ってそこなんじゃね?
それくらい知ろうとしない不勉強な経営者って、
結局は経営についても不勉強で収益性が悪くなって、
そのツケを社員側に押し付ける───ってさ。
という様な事を、ちょっと思った。

個人的にはだが、違法というのを認識しつつも、
ちゃんと対策やヘッジをしつつ、
問題化するリスクと便益とを天秤にかけてやってしまう───という経営者の方が、
悪質ではあるが、信頼できてしまう。
能力が無い方が怖い。


あと、自分はしらなかったのが「建設業の平成29年問題」。
建設業では、昔からの流れで現場作業員を社会保険に入れていないパターンがあるが、
国は平成29年までに社会保険加入率を(段階的にだが)100%に持っていこうとしている。
そこでひと悶着ありそうらしい。

まぁそれより先に、今年、平成28年10月からパートの社会保険拡大適用があって、
パートが主力の大手は、パート減らしたり、店自体を閉めたりと、現在バタバタしている。

この辺どうなんだろう。
とりあえず短期的には景気悪くなりそう。
でも、今の政府は他にやりたい事があるのでなんとしても勝ちたいだろうし、
何かしらカンフル剤的なものをぶち込んで来たりもしそう。
分からぬ。


また、「マズローの欲求5段階節」や
「ハーズバーグの動機づけ・衛生理論」が出てきてた。

この辺は納得感のある話ではあるのだが、
その理論から相転移した「やりがい搾取」という安定状態が発見されてしまったので、
すこし古い気がしないでもない。
まぁ「ブラック企業と呼ばれないための本」としては、まったくもって正しい内容なのだがw


ブラック企業と呼ばれない為に、社員研修もしましょうって話に出てくる内容は
いくつか参考になった。
「すげぇ売り上げ出してるのに、給料安い」なんて不満をもつ社員に、
数のような図を出して利益構造を説明するのは有用だろう。

また、人間関係の理解に役立つソーシャルスタイル理論の研修も役に立ちそう。

まぁ、労働者も社会人なんだから、そんなの各人で学んで欲しいという意見もありそうだが・・・
また、この本には出ていないが、管理職にはバートルテストも役に立つと思う。


あとは「Seven Eyes Dock」という組織診断サービスの紹介があったが、
これの診断項目が分かりやすく参考になりそう。
このサービスは人間ドックになぞらえているので、
会社を人間に見立てて7つの器官を評価していく。

脳:意思決定スピード
目:価値観・方針の浸透
内臓:人材の質と量
心臓:PDCマネジメント
足腰:環境整備
神経:情報の共有と活用
血流:評価と報酬


そして最後に、「あなたの企業はブラック企業?」というチェックリストが載っている。
全20問でYESがいくつあるのかで判定。
自分が今居るところは5個未満でした。
どうやらブラックではないようです。

といっても、少数の項目だけが度を過ぎるブラックなので、
精神疾患かかったり離職率高いんすけどね・・・
でもYESが少ないのでたぶんホワイト(^q^)




2016年4月9日土曜日

【書籍メモ】『絵本のしくみを考える』 藤本 朝巳(著) ★★★

読みやすく、様々な実例が挙げられているので分かりやすい。

コマ割りやページのレイアウト、枠の有無、模様、
色合いやその変化、絵の配置、視線の誘導の仕方、等々、
絵本には様々な仕掛けがしてある事が説明されている。

以前に、誰かがアニメか漫画の解説で、
「実写は意図せず映せてしまうが、手で書かれているものには必ず意図がある」
というような事を言っていた。
絵本もその例にもれず、小さく書かれた小鳥の一羽にいたっても、
意図があるのだと思い知らされた。

また、横長の長方形になっている本が、さらに見開きで書かれた時に表現できる空間表現は
言われてみれば、他のメディアではなかなか表現できないものである事に気付いた。

紛れもなく長年培われてきたプロの仕事。
少し軽く見ていたところがあったなと反省。


自分は絵本を書こうとは思ってないので、真剣に学ぶつもりもなく、
軽い気持ちで手にとって読んでみたが、結構ためになった。

下記のような、一般の人にもお勧めできる本だと思う。
・絵本を選ぶ立場の親御さん
・パワポでプレゼン資料を作るビジネスマン
・カタログや取説、作業基準書などマニュアル類を作る人

絵本を選べって言われても、なかなか難しそうだけど、
少し知識があると捗りそうだと思った。

また、仕事で使う書類なんかは、楽しさを求めるって出来ないけど、
視線の誘導などは参考になるし、
ページをめくりたくなる仕掛けも盛り込めたらいいなと思った。

あと、ページをめくりたくなる仕掛けって、マンガなんかでもあるし、
概念的には存在を知っていたのだが「ページ・ターナー」という呼び方は初めて知った。

TVドラマなんかは「クリフハンガー」らしい。
こちらはwikipediaにも項があった。


まぁ個人的には、時間に見合う収穫がそこそこあった感。


2016年4月4日月曜日

【読書メモ】『ブラック企業 経営者の本音』 秋山 謙一郎(著) ★★★☆

まぁ普通の軽くよめる新書。
でも、内容は多くの人によんで欲しいかな。

経営者としては、人件費を抑えつつ労働者を使い倒したい。
使う側の立場に立って考えてみたら、普通の欲求だと思うのだが、
なぜか多くの労働者からは、特殊な悪い経営者と見られてしまうのよな。

社員のために積極的に労働環境を整え、利益を還元していく。
割合的に見れば、そちらがすごい奇特な経営者なんだけどね。

人件費なんてコストなんだから当然抑えたい。
仕事なんて常に計画通り行くわけでもないし、
この弱肉強食の世界で、ぬるい仕事なんてそうないんだから、
労働者は会社の都合に合わせて、柔軟に対応して欲しい。

そんな当然の欲求に対して、否定的に書かれた本ではあるが、
ブラック企業で社畜化してる人らが現実を見れるように読んで欲しい。
そんな本。

また、マインドコントロール的なことにも書かれているが、
そういった事を経営側が意図的に利用している事に
考えが及ばない人には、本当によい本だと思う。


経営者側の欲求、手口を理解したその上で、
労働者として呑める呑めない、協力できるできないっていうのを
個人個人が考え、そして行動することによって、
労働市場がまともなモノになっていく。

会社同士だと当たり前に言える
「こちらも商売なんで、それはご協力できません」というのを、
労働者が経営者に言えるようにならんかなと思う。


2016年3月30日水曜日

【読書メモ】『ブラック企業 日本を食いつぶす妖怪』今野 晴貴 (著) ★★★★

とりあえず本の感想

ブラック企業とは、違法性や過酷な労働環境の企業をさすのではなく、
その本質は、選別と使い捨て構造にある───とし、

それにハマらなければ良いという、個人の問題ではなく、
国を滅ぼしかねない社会問題である───とする。

ただのブラック企業の実態をあげつらうだけの本ではないところがポイント高い。

また、ブラック企業の起源は、従来の日本型雇用であり、
そこから高福祉、安置雇用の待遇が失われ、
企業側の業務命令権限だけが残ったものである───という説明にも納得。

それに対する、対策なども挙げており、良い本になっていると思う。


個人的な違和感

しかし、個人的に少し認識が合わないところが無いわけではない。

中小零細の待遇が良くないだけの会社を、ブラックとすることに憚るが、
ぶっちゃけ中小零細なら、選別と切り捨ては当たり前の事なので、
その定義からしたらブラックで良い。

中小は組織で稼ぐより、個のスペックに頼る所が大きいから自然とそうなる。
まともな教育などなく、即戦力として使えるのが当たり前。
その会社に適合する人間で、さらに、社長と合う人間しか残らない。
赤字の社員が居たら会社が傾く。それが中小零細。

しかし、その中小が成長し、組織で稼ぐ割合が増えたときに余力が生まれ、
スペックの低い社員、又は低くなってしまった社員も切り捨てずに維持できる体力になる。
また、社会的な評価を気にするようになった時、
「もう昔みたいに小さい会社じゃないんだから」と、ホワイト化する場面があったのだと思う。

大手企業がブラック化する事により、そこから中小にブラック精神が波及するのではなく、
ブラック中小が成長した場合に、ホワイトに脱皮する機会を失う事になるのだと思う。

そうして、ブラックのまま大手化する企業が再び発生することにより、
世の中のブラック化が進行していく。


また、
新興大手ブラックの他への影響で大きいのは、雇用安定性などの待遇面ではなく、
企業内競争の精神ではないかと思う。

内部の競争により組織で稼ぐ体質への以降が阻害され、
個のスペックで稼ぐことしか出来なくなる。
その結果、たとえそれで中小が成長したとしても、効率の悪い状態のまま。

そういった企業が増えることにより、組織で稼ぐという概念が消失。
全企業のブラック化に拍車をかけることになるのだと思う。


ブラック企業という概念の限界

しかし、ブラック企業という概念に限界を感じざるを得ない。

客観的に見てブラックでも、それに適合する人間にとっては
「いやいやブラックじゃないよ」という、主観や感情でする話にやっぱりなってしまう。
その辺が、否定的な意味しかもたないブラック企業の概念の限界
ではないかと思う。

「切捨て型のブラック企業の方が、自分を肯定できる」って人って居ちゃうが、
「ブラック企業があっても良いじゃない」とか、
「ブラック企業です。だから何?」とは成らないわけで。
その辺が、ブラック企業の定義をこねくり回すことにもなっていて、
建設的な健全な議論に発展しづらい事になっている気がする。

個人的な思いとしては、
バートルのゲーマータイプ分類の認識で
多様なタイプの社員が生息できる会社、多様なタイプの人が生息できる社会。
又は自分のタイプで生息できる会社を探す。
そういうのを目指すような方が健全な議論が出来る気がする。

そういったものを目指す方向であれば、
ブラック企業の典型的例である、内部競争淘汰型、内部キラー型というような会社も
冷静に肯定することが出来るのではないかと思う。

「内部キラー型の会社」というのも有ってもいいじゃん?
もちろん俺は嫌だけど。
たぶん、普通の女の人は生息できないからムサい思うし。

「切捨て型のブラック企業の方が、自分は好き」と言われるとモニョるが、
「バトル好きな俺はあえて、
内部競争淘汰型企業でトップを目指すぜ」
という人になら「がんばれ」って言ってあげる事ができるのではないか。

まぁそんな事をすこし思ったりした。
だいぶ本の内容からズレた感想になったな・・・

2016年3月26日土曜日

【読書メモ】『高齢者の自立は不可避である』久慈 直志 ★☆

大正14年生まれで、医者をやってた人の本。

まぁ趣旨は分かるのだが、まとまりがなさ過ぎる気がした。
編集者さんがもっとなんとか出来なかったのか・・・

というかこの本、尼で検索しても出てこないんだが?
2012年の本なのに、バーコードがない?なんぞ?
もしかして、編集者もついてない?

という感じで、本としては微妙なんだが、
老人は若者にたかるな的な主張をする爺さんなので、
本以外の方面でがんばって欲しいな。

2016年3月23日水曜日

【読書メモ】『高齢者が働くということ』ケイトリン・リンチ (著), 平野 誠一 (翻訳)  ★★★

RETIREMENT ON THE LINE
age, work, and value in an American factory

人類学者である著者による、アメリカの高齢者を積極的に雇う会社を調査した本。
インタビューの他、実際に一緒に働いてみての体験し、分析をしている。
高齢者を雇うことが、企業の成長にも繋がっている実際の例として、参考になるだろう。

まぁ内容的にはとてもいいんだけど・・・長い。
この内容で400pageは多いと思うわ・・・
もう少しなんとかならない物か。

とりあえず、企業が高齢者を雇うことでプラスな面が幾つかあるようだ。
●安い賃金でも働いてくれる。
 (補助的な収入になる。働ければお金は二の次の人もいる。)
●社会保障費など、国に払う金が少なくてすむ。
 (年金や雇用保険的なものを払わなくていい)
●職業倫理感の強い人が多い。
●社会に貢献している会社として、よいイメージを得れる。
●珍しい会社として、メディアが取り上げてくれる。
●従業員同士が競争しないで支えあってくれる。
●フルタイムで働かせなくてよい。
●高度な知識や経験をもった人材を活用できる。

さらに、高齢者側にとってもプラスである。
●役に立っている感覚を得れる。
●お払い箱になったという感覚からの脱却
●同じような高齢者と活動できる。
●助け合いが出来る。
●社会的なつながりを持てる。
●長生きに繋がる
●運動能力の維持。ボケ防止
●収入が得れる。
●メディアの取材があれば、特別な感覚を得れる。

社会にとってもプラスである。
●労働力の確保
●死ぬギリギリまで、そこそこ健康で居てくれる。

しかし、社会としては下記のような懸念がある。
●お金が必要な若い世代の仕事を奪っている。
(主にネットでこのような批判がされていたらしい)
●国に払う社会保障費が少なくてすむ→労働市場的に不当な競争の要員
(日本でいえば、夫の扶養にとどまるパートの主婦なんかがコレだが)

また、企業として対応が必要な事もある。
●作業スピードはやはり遅い。
●人によってスピードや力、知識など、能力に大きな違いがある。
●フルタイムで働けない人も多い。
●柔軟な働き方への対応が必要になる。
(午後に孫を迎え意に行くため午前中のみ・・など)
●経済的にも、人により状況はまちまちである。
●雪が降ったら、ケガを恐れて出てこなくなる。
●ポリティカルコレクトにマッチしない。
(差別や偏見など、古い考え方の人が多い)
●新しい機械に抵抗を示す。
(パソコンはもちろん、FAXにすら抵抗を示す例が出ている)
●やりなれた作業はこなせるが、新しい作業にすぐに対応するのは難しい。
●高齢者を低賃金で働かせて、「搾取しているのではないか」という世間の目。
●近隣の高齢者しか使えない。

この本に出てきたヴァィタ・ニードルという会社は、
高齢者をクビにしたことがないと言われているが、
毎日入り口の19段の階段を上れる必要があり、(上れない=出社できない)
場合によっては、家族に「おじいちゃんはもう来ない方がいいかもしれない」と宣告はする。
また採用時には、何のために働くかなどを重視し、
会社に馴染める人をちゃんと選んでいる。

成功している理由にしても、
扱っている製品が多品種少量生産、技術的に高度な製品で
熾烈な競争にさらされていなかったり、
また、それらの製品を必要とする会社が比較的近隣にあるなど、地理的な優位点があり、
さらに、比較的教育水準が高い地域であることも上げられている。

まぁ、どんな高齢者でも役に立って働けるとか、
どんな会社でも高齢者を活用すれば上手くいくという、
バラ色な話にはなっていない。

また、この本でページを割いている内容として、
メディアの取材に対するお年寄りの対応や変化、
それ自体が報酬の一部として機能している事を書いている。
(個人的な感想としては、読み物として別の本に分けて欲しかったが)


一億総活躍社会とやらで、
これから、高齢者を活用していこうという日本としては、
実際に成立している例として読んでおくのはよいかも知れない。
(しっかし長い・・・)



2016年3月15日火曜日

【読書メモ】『あなたの中の異常心理』岡田 尊司 ★★★

まぁ普通。
三島由紀夫やら、ニーチェ、ヘミングウェイなどの作家や、
日本で実際に起こった事件で見られる精神異常者ぽい人を例にとり、
完璧主義など、その辺の人にも見られる心理や行動も、
過ぎれば異常な状態になっちゃうという本。

異常心理についていくらか知見がある人であれば、
そこまで新しい内容でもない。

しかし、「普通の人と異常とされる人の間は地続きである」という事を訴えは、
非常によくわかって広めるべきだとは思う。
そういう意味で、広くお勧めしておきたい本。

まぁその先に、世間で異常とされるものと普通とされるものは、
行為自体ではなく、世間の評価によるという見方もあったりするが、
その方向にはいっていない。

この本では、生活に支障が出てきたあたりを正常と異常の境目にしている。
心療内科なんかでの判断基準に近い感じ。
文化史やら社会学からの目線ではなく、あくまでも心理学的な見方での話の本。



2016年3月10日木曜日

【読書メモ】『若年者就業の経済学』太田聰一(著) ★★★★

数値からのまじめな解析の本。
社会学などでは気付けない事に気付かされる。

就業者と失業者の他に、主婦やニート、引退者など
働く気がない人も含めて取り扱うという事に気付かされた。

また、失業者というのは、就業者との出入りのほかに、
働く気がない人達との失業者への出入りもあり、
そこも含めて、失業状態へのフローを捉えないと、
失業率の解釈を見誤るという事に気付かされた。

具体的に言うと、主婦や、ニートを働く気にさせるような政策、
または引退している年寄りを働かせるようにさせる政策をすれば、
国の財政としてはプラスだが、「失業率」としては上がる事になる。
この辺は目からウロコ。

新卒時の経済状況による差は20代後半まで影響する。
(中高卒であれば10年くらいは影響する。)
給料額面だけではなく、最適な仕事に就けるかの機会面での影響もある。

経済状況の雇用数への影響は、
その時の景気が若年者、中高年の両方に同程度に影響するのに対し、
今後の見通しは、投資的な意味合いの強い若年者に大きく影響する。
そのため、景気がよくなる見通しが立たない長期不況の状態では、
若年者の採用が抑えられがちになる。
また、その傾向は大企業に強い。

以前に比べ、若年者と中高年の職業分布が似てくきており、置き換え効果がある。
大卒に対し高卒者でその傾向が強い。
高齢者の活用は国策としては必要だが、若年者雇用の面からはマイナス。
(この辺を踏まえると「一億総活躍社会」などで高齢者を働かせる政策は、
若年者雇用(特に高卒)の面では不利に働くのではないかと思わせる(あらだか感))
改正高齢者雇用安定法なども

若年者層の人口が少ない事は、コホート・クラウディング効果により、
若年者の雇用に有利に働くが、前述の中高年との置き換え効果と、
高齢者の人口が多いことが合わさり、効果は限定的となる。
むしろ、若年者の人口が少ない事が、高齢者の雇用促進や、
若年者との置き換え促進などの政策となり、結果的に不利になる。
(インサイダー・アウトサイダー理論による)
(この本では触れられないが、外国人労働者の受け入れなどもあるよね(あらだか感))

地方からの流出率は、近隣の受け入れ地域となっている都市の失業率に影響される。
その結果、地方の失業率は受け入れ地域の失業率に影響される。
近年、若者が地方に留まる傾向が見えるのは、失業率の高さによりそう。
非正社員率の高さは失業率には影響がない。
非正社員は離職率も高いが、非正社員への就職率も高いため。
(これ、短期的にはそうでも、将来的にみたら失業率高めそうなんだが。(あらだか感))

社内教育も、若年者の雇用と同じように投資と考えられるので、
その時点の景気にくわえ、将来の景気動向への予測が与える影響が多きい。

若者向け雇用対策プログラムのロジックやら留意点。

最近話題の「同一労働同一賃金」が進められた結果も、
今後に同様のアプローチで解析してほしいなと思った。



2016年3月2日水曜日

【読書メモ】『社会を変える23章 そして自分も変わる』川田忠明 (著)  ★

いやぁ、まれに見るひどい本。
一方的な恣意的解釈を擦り込むような内容になっている。
初めの1章でダメだと思いつつ、全部目を通して、やっぱり時間の無駄だった。
(内容的にもだが、字数的にも中身が無いので、ダメージは少ないが)

リテラシーのある人が読めば、「なんだ?この本は・・・」ってなるし、
無い人が読めば、騙される。
読み手にとっては良いことなし。


活字に嫌悪感がありそうな人でも、なんとか読めそうにがんばってるのはプラス。
扇動方法の参考とするならプラス。

まずは騙されてみるのも、長い人生経験としてはアリなのでは?
って前程なら、高校生あたりに読ませてみるのは良いかもしれない?

まぁ良書悪書の解釈も、目的しだいだしな。

2016年2月28日日曜日

【読書メモ】『働くことの心理学―若者の自分さがしといらだち』 都筑 学 (編集) ★★★★

8人の共著。1章ごとに書く人が違う。
一冊にいろいろ詰め込まれてる感と、
資料を基にした分析やらも多いので、いろいろ役立ちそうな本。

タイトル的には心理学の本だが、社会学への心理学的アプローチみたいな感じ。
8章に書かれている下記が、この本の趣旨を表している。

わが国では,成長を象徴する年代を生きる子どもや若者が,
心身ともに苦しい生活を強いられていること,
特に,若者が働いてもはたらいても,なおも貧困にあえぎ
人格的な自立をむずかしくしているという現実は,
人間の成長・発達を保障すべき心理学研究の大きな課題でもある

174page

人間科学としての心理学は人間科学としての社会学や教育学などと協力して
文化の創造者であり運載者である人間の形成を問題として
研究の総合体制を整えてゆかなければならない。

175page

まぁそんな感じの本。

この辺もちと長いけど引用。あぁ・・確かにな感。

若者の就労困難が顕著になってくる中で,2003年,
国(文部科学省・厚生労働省.経済産業省・内閣府)は,
「若者自立・挑戦プラン」を発表しました。

その後も,次々と若者自立支援政策を打ち出しています。
しかし,その多くは労働市場政策中心主義といえるもので,
若者と企業のマッチングを主として
若者のキャリア意識の育成によって改善しようとするものです。
つまり,若者の「人間力」や「就職力」が問題にされることはあっても,
人間の成長過程と労働の本質的なことがらがどのように関わっているのか,
それを保障するにはどうしたらよいのかといったことを根本から問うことはあまりありません。
少し極端な言い方かもしれませんが,
過労死(業務起因性精神疾患自殺を含む)を生み出すような労働の現場に,
若者がいかにして自分を変えて適応するかを勧奨している
ようなものです。

 175-176page

こういうのは、ぬるぬるで生きてるこんなオッサンよりも
若者がもっと読んでおくべきだと思うのだが、
実際に厳しい立場におちいっちゃってる若者には、こういう情報は伝わらないのよな。
まぁ社会っていろいろ難しい。

目次


第Ⅰ部 労働の実態と労働者の意識
 第1章 日本の社会状況・労働実態・労働者の意識(荒尾貞一)
  第1節 若者たたきと青少年の周辺化
  第2節 集団性の再構築
 第2章 職場における労働問題(都筑 学)
  第1節 職場と労働者の実態
  第2節 職場から離れる
  第3節 働きすぎること
  第4節 働く人たちを支える

第Ⅱ部 働くことを通して青年が獲得する力
 第3章 青年期から成人期にかけて働くことを通じて形成される力(白井利明)
  第1節 社会に出る前に働くことで形成される力
  第2節 社会に出た後に働くことで形成される力
  第3節 現代社会への以降におけるキャリア形成
 第4章 若者の自分さがしと職業(村澤和多里)
  第1節 自分探しとモラトリアム
  第2節 若者の働くことに対する不安
  第3節 若者の「自分さがし」のために
 第5章 格差社会における若者の〈自己実現〉
      ───「働けないこと」の心理学序説(加藤弘道)
  第1節 〈奪う〉という支援のかたち
  第2節 格差社会と〈自己実現〉批判
  第3節 当事者にとっての〈自己実現〉言説
  第4節 当事者にとっての〈自己実現〉的なるものの意味
  第5節 〈自己実現〉批判を超えて

第Ⅲ部 人生において労働がしめる位置
 第6章 仕事と生活───働くことと生きること(菊地則行)
  第1節 仕事と生活の関係の現状
  第2節 仕事と生活の関係の心理学
  第3節 仕事と生活の人間的な関係
 第7章 女性の就業問題(青野篤子)
  第1節 女性の就業の実態
  第2節 女性のキャリア
  第3節 これからの労働のゆくえ

第Ⅳ部 心理学における労働の研究
 第8章 働くために必要とされる力
      ───児童期から青年期にかけて形成されるもの(間宮正幸)
  第1節 働くことと人間の成長
  第2節 働くことと人間学
  第3節 働くこととじ児童期






2016年2月11日木曜日

【読書メモ】『こうすれば犯罪は防げる - 環境犯罪学入門 -』谷岡一郎 ★★★☆

サブタイトルにあるとおり、「環境犯罪学入門」という感じの本。
環境犯罪学ってなんぞやっていうと、
従来の環境学との違いは下記のような感じ。

■従来の犯罪学
 普通の正常な人は犯罪を行わないという前提にたつ。
 そのうえで、犯罪者がなぜ犯罪を行ったかを研究する。
 犯罪者個人の育った環境や教育なども扱う。

■環境犯罪学
 集団の中には、一定の割合で犯罪を行おうとする人間がいる事を前提とする。
 そのうえで、犯罪と環境の関係、誘因などを研究する。
 犯罪者個人の性格や判断なども考慮するが、あくまでも環境が研究対象。
 有名な「割れ窓理論」なんかがこれ。

環境犯罪学理論の分類

この図が分かりやすかった。

「社会的コントロール理論(ハーシー)」ってのは
トラヴィス・ハーシーの社会的絆理論って呼ばれてる奴だな。
聞いたことがある。

中心部の「CEPTED」はこの本では軽く触れられるだけだったが、
考え方は他のと似ているので、定義を拡張すれば、
結局はCEPTEDとも考えられるようだ。
Crime Prevention Throuth Environmental の略

この本で大きく扱われているのは、
「ルーティン・アクティビティ・セオリー」というやつ。


ルーティン・アクティビティ・セオリー

下記の3つの犯罪の構成要素に注目し、対策を検討する。

犯罪の構成要素
1.犯意のある行為者
2.ふさわしいターゲット
3.抑止力のある監視者の不在

この3つが同時に、同じ空間に存在したときに犯罪が発生すると考える。
そして、それぞれの要素関にも着目する。

行為者 ~ ターゲット:アクセス
ターゲット ~ 監視者:ターゲットコントロール
行為者 ~ 監視者:社会的抑止力

例えば、
貴重品を金庫にしまうなどは、アクセスを遮断する行為だし、
家の周りが外から見えるように、塀を低くするなどは、ターゲットコントロール。

また、ご近所がみんな顔見知りのような土地では、よそ者は目立ってしまうが、
都会のマンションのような、隣の人の顔も知らないような状況では、
空き巣の下見をする人が居ても、誰も気に留めない。
ここで違ってきてるのは社会的抑止力。

なるほど感。
ルーティン・アクティビティ・セオリーの概念は、
防犯を考える上でよい補助線になるなと思った。

まとめ

すでに環境犯罪学を知っている人には、物足りない内容かもしれないが、
その概念すらよく知らない人にとっては、為になると思った。

上記以外にも、筆者が行った高校生の非行と犯罪についての研究やら、
制服の犯罪抑止効果など、門外漢でもなるほど感のある内容だった。

というか、防犯は誰にとっても必要なことだしな。

Amazon

2016年2月1日月曜日

【読書メモ】『洗脳原論』苫米地 英人 ★★★

2000年に書かれた本なので今更感だが、まぁ読んでみた。

オウム信者の洗脳を説く話と、洗脳って何?どうやってするの?
ってのについて書かれている。

普段生活している常識的な世界からは逸脱した話ではあるが、
原理的には色々可能だと思っているので、肯定的に読んでみた。

というか、この辺はちょっと真面目に学んでいきたい所なんだよな。
この本でもセールスや物販に応用した例が出てくるが、
ぷち洗脳や、日本人に広く埋め込まれたアンカーを使うと色々できそうだし。

例えば、簡単に切ったりくぐったりできそうな赤い糸で作った結界でも、
大体の日本人は侵入できなくなる。
呪術的な雰囲気をかもし出したアイテムを置いておくだけで防犯効果は得れちゃう。
そうやって、オカルトを有効活用するのって出来るよねと。
犯罪者は意外とジンクスみたいなのを気にするっていうし。

2chなんかのやり取りでも、すごく軽いレベルであれば
洗脳や呪いをかける事も出来るだろう。

そういうのを科学的に学んで行きたいなと。
たぶん、この本でいうところの、悪用事例になりそうだけどw

【読書メモ】『加害者家族』鈴木 伸元 ★★★

話の中身は重いが、サクサク読めるし良いんじゃないかな。
実際に起こった事が書かれていて、とっぴな物ではないので、ザーッと読める。

内容的には、加害者家族の実体験みたいなのが半分。
それ以外は、加害者家族を取り巻く社会についての分析やらと
家族が気付けそうな加害者のサインや、
加害者家族支援の支援についての話が残り半分。

加害者家族のインタビューは、まさに青天の霹靂で
いきなりコレまでの生活を奪われるパターンばかり。
実際には、「家族にも責任あるよね」という事件も多々あるが、
そういうのはインタビューを受けてくれないだろうし、偏りがでるのは仕方がない。

感想としては、うっわホント大変だよねって感じだが、
やっぱりマスコミがクズなんじゃんってやっぱり思う。
ご近所の否定的な反応も、結局はマスゴミによる2次被害の影響が大きい。

あと、資料的にメモっておきたかったのは↓かな。


子供が加害者になるサイン

「重大少年事件の実証的研究」というのの結果から、
下記の3タイプがよくありそうとの事。

①幼少期から問題行動を頻発していたタイプ
虐待等、家庭に問題があるケースが多い。
問題行動が親に発覚した場合には怒られるが、その事が強い恐怖となって残り、
物盗りだけの犯行でも目撃者を殺してしまったりする。

②表面上は問題を感じさせることのなかったタイプ
 さらに2つに分けられる。
 ②-1、発達的な偏りが見られるタイプ
  表情や感情表現が乏しいという発達的名偏りの特徴がある。
  まぁアスペルガーとかか。
 ②-2、精神障害が疑われるタイプ
  正確な分析は難しい。らしい。
 1と2のどちらにもいえる事だが、障害がある人のすべてが事件を起こすわけでもない。
 なので、障害と事件とを短絡的に結びつけるのは危険である。っと。

③思春期になって大きな挫折を体験したタイプ
 勉強やスポーツなどで人より秀でていたため親から甘やかされて育った子供が、
 思春期になって自分では処理しきれない挫折を経験し、衝動的に殺人に至る。
 このタイプの子供は、学校の教師に対して見下した態度を取りがちだという。
 犯行直前の兆候については、微熱・腹痛などを訴えたり、
 学校への登校を突然嫌がったりするほか、他人への粗暴な振る舞いが見られたりする
 ・・・というが、他のタイプに比べて特徴的な行動と定義するまでには至っていない。

適当にググってみつけたこの辺も参考になりそうなのでメモ
平成17年度 少年非行事例等に関する調査研究報告書


トラヴィス・ハーシ教授の社会的絆論

人は社会との絆があることによって、犯罪を思いとどまっているという考え。
その絆が弱まった場合に、犯罪がおきる。

ハーシ教授があげた社会的な絆
①愛着:家庭や諸熊など周囲との絆
②コミットメント:社会に対する関わりの深さ
③規範意識:社会のルールに対する納得・理解
④関与:規則を守る行動に費やす時間

ちょっとこれだけだとなんのこっちゃ。
なのでその内、読んでみようと思う。

2016年1月28日木曜日

【読書メモ】『歴史人口学で見た日本』速水 融 ★★★

著者は日本の歴史人口学の大家らしい。
3割くらいはそんな著者のエッセー的内容。
あと、まだ未完のこれからとなる課題についても書いてある。
その辺はちょっとビミョーな本。

しかし、宗門改帳という膨大なミクロデータから分析した結果は
そこそこ興味深い内容だし、引用したくなるデータも含んでいる。

都市アリ地獄説

都市部は出生率が低いが死亡率が高い。
そのため人を農村から人を呼び込むが、その高い死亡率により結局殺してしまう。
そうして全体(関東地方や近畿地方というくくり)としては、人口は減る。

ヨーロッパでも同じような現象がみられ、
「都市墓場説(Urban Graveyard Theory)」と言われているようだ。

合同家族世帯から直系家族世帯へ

17世紀の人口増大の理由のひとつとして挙げられている変化。

合同家族世帯とは、
親夫婦、子夫婦、兄弟夫婦、叔父、叔母、従兄弟などが纏まって住む形。

直系家族世帯とは
核家族世帯(親と子の世帯)+祖父&祖母

人数の多い合同家族世帯では結婚しない奴も結構居たが、
直系家族世帯になると、だいたい結婚するようになるようだ。
外国だとまだ合同家族世帯みたいなのあるよね。
言われてみればそんな感じかも。

出稼ぎ奉公とお家断絶

昔は子供の死亡率が高かったため、跡継ぎが生まれ、無事成人するためには
統計的(確率的?)には子供を4.5人以上産む必要があった。

その4.5人を産むためには、これまた統計的にいうと、
25歳までに結婚する必要があったと。

出稼ぎに出ていると、この条件を満たすことが難しく、
家系が途絶える可能性が高くなった。

なので、出稼ぎ奉公が必要となる分家やら小作やらでは、
そのうちにお家断絶してしまいますよと。

そして、そのあいた土地には、本家の次男や三男が分家で入ると。
そういうループになっていたようだ。

地域別の人口パターン

宗門改帳に見られた地方別の特徴
・東北
早く(女子は15歳くらいで)結婚するけれども子供の数が少ない。
母親は子供を4~5人産んで、産み終わった後は家の労働力になって働く。
その後は出生制限を行う。
・中央
結婚年齢は比較的遅い(22、23歳くらい)が、子供は産み続ける。
・西南日本(東シナ海沿岸)
結婚年齢は遅いが、結婚前に子供を生むことがある。
離婚も多く、一つの結婚と次の結婚とのあいだに子供を生むこともある。
性行動に関して、東北や中央とやや異なり、倫理的に自由である。
まぁ夜這い文化とかその辺。

その頃の結婚事情

東美濃の輪中の平坦部という、かなり点でのデータになるが
・平均初婚年齢:男28歳、女20.5歳
・結婚の継続期間
 一番多いのは1年(7%)
 25年(銀婚式)超えは2~3%
 50年(金婚式)超えは0.5%

まぁ死亡率が高いという事も、大きな要因のようだ。

まとめ

まぁ資料的価値がそこそこある本という事でいいんじゃないかな。
でも、この人以上の人って出てこない気がするし、
また、最近のは数字そろってるし、昔のはこれ以上できない気もするし、
なんか無くなりそうな分野なんじゃないの?みたいな。

最近の著者のインタビュ
「人口減少=悪」ではない 次世代に向けて発想を転換せよ