数値からのまじめな解析の本。
社会学などでは気付けない事に気付かされる。
就業者と失業者の他に、主婦やニート、引退者など
働く気がない人も含めて取り扱うという事に気付かされた。
また、失業者というのは、就業者との出入りのほかに、
働く気がない人達との失業者への出入りもあり、
そこも含めて、失業状態へのフローを捉えないと、
失業率の解釈を見誤るという事に気付かされた。
具体的に言うと、主婦や、ニートを働く気にさせるような政策、
または引退している年寄りを働かせるようにさせる政策をすれば、
国の財政としてはプラスだが、「失業率」としては上がる事になる。
この辺は目からウロコ。
新卒時の経済状況による差は20代後半まで影響する。
(中高卒であれば10年くらいは影響する。)
給料額面だけではなく、最適な仕事に就けるかの機会面での影響もある。
経済状況の雇用数への影響は、
その時の景気が若年者、中高年の両方に同程度に影響するのに対し、
今後の見通しは、投資的な意味合いの強い若年者に大きく影響する。
そのため、景気がよくなる見通しが立たない長期不況の状態では、
若年者の採用が抑えられがちになる。
また、その傾向は大企業に強い。
以前に比べ、若年者と中高年の職業分布が似てくきており、置き換え効果がある。
大卒に対し高卒者でその傾向が強い。
高齢者の活用は国策としては必要だが、若年者雇用の面からはマイナス。
(この辺を踏まえると「一億総活躍社会」などで高齢者を働かせる政策は、
若年者雇用(特に高卒)の面では不利に働くのではないかと思わせる(あらだか感))
改正高齢者雇用安定法なども
若年者層の人口が少ない事は、コホート・クラウディング効果により、
若年者の雇用に有利に働くが、前述の中高年との置き換え効果と、
高齢者の人口が多いことが合わさり、効果は限定的となる。
むしろ、若年者の人口が少ない事が、高齢者の雇用促進や、
若年者との置き換え促進などの政策となり、結果的に不利になる。
(インサイダー・アウトサイダー理論による)
(この本では触れられないが、外国人労働者の受け入れなどもあるよね(あらだか感))
地方からの流出率は、近隣の受け入れ地域となっている都市の失業率に影響される。
その結果、地方の失業率は受け入れ地域の失業率に影響される。
近年、若者が地方に留まる傾向が見えるのは、失業率の高さによりそう。
非正社員率の高さは失業率には影響がない。
非正社員は離職率も高いが、非正社員への就職率も高いため。
(これ、短期的にはそうでも、将来的にみたら失業率高めそうなんだが。(あらだか感))
社内教育も、若年者の雇用と同じように投資と考えられるので、
その時点の景気にくわえ、将来の景気動向への予測が与える影響が多きい。
若者向け雇用対策プログラムのロジックやら留意点。
最近話題の「同一労働同一賃金」が進められた結果も、
今後に同様のアプローチで解析してほしいなと思った。
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