メタ具合
本作はゲームでも展開しているメディアミックス作品。しかし、ゲームの方はアニメ放映前にサービスが終了という残念な状態。
このビミョーなケースを逆手にとってストーリーに絡めている。
サービスが終了したゲームの今を、人が居なくなったジャパリパークで表現。
サービスは終わっても、キャラと世界は今も続いてるように表せている。
このメタ表現は新しい。
メタ表現など狙っていない可能性もある。
しかし、これまでメタメタな作品を作ってきたヤオヨロズとたつき監督だ。
たぶん、狙ってやっている。
また、この結果は狙って出来るものではない。
TVアニメの枠を押さえるのにある程度期間が必要な事と、
生き馬の目を抜くソシャゲ業界が合わさってレア状況が生まれ、
そこに短い製作期間に対応できるヤオヨロズが組み合わさり、
初めて出来た事だと思う。
ある意味、奇跡。
意図的にIQを落とす事を広めた
オタクどもを放っておくと、IQが高い方に行ってしまいがち。それはそれで楽しいのだが、IQが低い楽しみが失われる。
それを、「たーのしー」的なフレーズで防止できている。
そして、この「たーのしー」は更なる快感を生む。
ちょっぴりIQを高めてから「たーのしー」とIQをぶち下げると、
積み木の塔を崩すような、カタルシス的な快感を得れるのだ。
これは、他人が積み上げようとしている時にも使える。
難しい事いってこられても「すごーい」「わかんなーい」
「~のフレンズなんだね」で返せば、
理解を促してくる相手の意図を破壊した感じでなにやら気持ちいい。
また、IQが低いというのは一種の無双状態。
使いどころを間違えなければ、かなり有効なのだ。
クレーマーになるには、時としてバカに成りきる事が必要だが、
ナチュラルボーンでない人が意図的にやろうとすると、案外難しい。
話しているうちに、ついつい相手の言い分を理解してしまいそうになる。
なので、そこでも「わっかんねぇよ」みたいなバカフレーズで
一旦IQを下げるテクはとても有効だったりする。
けものフレンズのIQを意図的に下げられるフレーズは、
この低IQの無双状態を少し広めたように感じた。
~のフレンズなんだね
これは結構な発明だったと思う。とりあえず相手を認めてあげる。
ネガティブな内容であっても、たとえ本人が認めたがらなくても、
とりあえず相手をその様に認識してあげる事が出来る。
否定的な内容でもなにやら肯定的に認めてあげられる。
しかしまた、それ以上の深い興味は示さず、話を切上げることが出来る・・・と。
とても使い勝手がいい。
このフレーズがそこそこ使われていたのは、そのあたりの有用性だと思う。
ヒット要素
声優さんたちの楽しそうな声を引き出せていた。これは、さすがと言うべきかな。
OPMADの多さも、その楽しげな雰囲気があってこそだろう。
また、後半は動きやカメラを作りこみすぎず、
記号的なものに目を行きやすくしたのも一般ウケしやすくなった要因と思う。
がんばって作りこんだハズの1話がボロクソに言われたお蔭で、
なにやら掴めたかもしれない。
しかし、カバンちゃんの手袋とタイツの再生は、
記号を読み取る事になれたフレンズに余計な誤解を生んでしまっていた。
そこは少し失敗していた感はあるけど、そこも学習すると思う。
ので、逆に今後に期待。
典型的なロードムービーであった事もヒット要因のひとつだろう。
やはり基本は強いなと。
しかし、なにやら懐かしい感じを受けた。
思えば、1クール12話が当たり前の昨今ではロードムービーは減ったのかもしれない。
つたない作りで作品自体に萌えさせた・・・という意見もあるけれど、
萌えさせたというよりは他の作品のファンにもライバル視されなかったのが大きい。
その事で、みんなで楽しめる作品になったのだと思う。
その他
ジャパリパークが日本推しの名前という件は、そこまで考えていないと思う。ただのゴロ合わせでは?
現実世界での知名度が今ひとつな気はする。
結局はコアなオタク層だけで受けている感じは否めない。
もう少し浅い時間帯でやらせて貰えるようになる事に期待したい。