2016年3月30日水曜日

【読書メモ】『ブラック企業 日本を食いつぶす妖怪』今野 晴貴 (著) ★★★★

とりあえず本の感想

ブラック企業とは、違法性や過酷な労働環境の企業をさすのではなく、
その本質は、選別と使い捨て構造にある───とし、

それにハマらなければ良いという、個人の問題ではなく、
国を滅ぼしかねない社会問題である───とする。

ただのブラック企業の実態をあげつらうだけの本ではないところがポイント高い。

また、ブラック企業の起源は、従来の日本型雇用であり、
そこから高福祉、安置雇用の待遇が失われ、
企業側の業務命令権限だけが残ったものである───という説明にも納得。

それに対する、対策なども挙げており、良い本になっていると思う。


個人的な違和感

しかし、個人的に少し認識が合わないところが無いわけではない。

中小零細の待遇が良くないだけの会社を、ブラックとすることに憚るが、
ぶっちゃけ中小零細なら、選別と切り捨ては当たり前の事なので、
その定義からしたらブラックで良い。

中小は組織で稼ぐより、個のスペックに頼る所が大きいから自然とそうなる。
まともな教育などなく、即戦力として使えるのが当たり前。
その会社に適合する人間で、さらに、社長と合う人間しか残らない。
赤字の社員が居たら会社が傾く。それが中小零細。

しかし、その中小が成長し、組織で稼ぐ割合が増えたときに余力が生まれ、
スペックの低い社員、又は低くなってしまった社員も切り捨てずに維持できる体力になる。
また、社会的な評価を気にするようになった時、
「もう昔みたいに小さい会社じゃないんだから」と、ホワイト化する場面があったのだと思う。

大手企業がブラック化する事により、そこから中小にブラック精神が波及するのではなく、
ブラック中小が成長した場合に、ホワイトに脱皮する機会を失う事になるのだと思う。

そうして、ブラックのまま大手化する企業が再び発生することにより、
世の中のブラック化が進行していく。


また、
新興大手ブラックの他への影響で大きいのは、雇用安定性などの待遇面ではなく、
企業内競争の精神ではないかと思う。

内部の競争により組織で稼ぐ体質への以降が阻害され、
個のスペックで稼ぐことしか出来なくなる。
その結果、たとえそれで中小が成長したとしても、効率の悪い状態のまま。

そういった企業が増えることにより、組織で稼ぐという概念が消失。
全企業のブラック化に拍車をかけることになるのだと思う。


ブラック企業という概念の限界

しかし、ブラック企業という概念に限界を感じざるを得ない。

客観的に見てブラックでも、それに適合する人間にとっては
「いやいやブラックじゃないよ」という、主観や感情でする話にやっぱりなってしまう。
その辺が、否定的な意味しかもたないブラック企業の概念の限界
ではないかと思う。

「切捨て型のブラック企業の方が、自分を肯定できる」って人って居ちゃうが、
「ブラック企業があっても良いじゃない」とか、
「ブラック企業です。だから何?」とは成らないわけで。
その辺が、ブラック企業の定義をこねくり回すことにもなっていて、
建設的な健全な議論に発展しづらい事になっている気がする。

個人的な思いとしては、
バートルのゲーマータイプ分類の認識で
多様なタイプの社員が生息できる会社、多様なタイプの人が生息できる社会。
又は自分のタイプで生息できる会社を探す。
そういうのを目指すような方が健全な議論が出来る気がする。

そういったものを目指す方向であれば、
ブラック企業の典型的例である、内部競争淘汰型、内部キラー型というような会社も
冷静に肯定することが出来るのではないかと思う。

「内部キラー型の会社」というのも有ってもいいじゃん?
もちろん俺は嫌だけど。
たぶん、普通の女の人は生息できないからムサい思うし。

「切捨て型のブラック企業の方が、自分は好き」と言われるとモニョるが、
「バトル好きな俺はあえて、
内部競争淘汰型企業でトップを目指すぜ」
という人になら「がんばれ」って言ってあげる事ができるのではないか。

まぁそんな事をすこし思ったりした。
だいぶ本の内容からズレた感想になったな・・・

2016年3月26日土曜日

【読書メモ】『高齢者の自立は不可避である』久慈 直志 ★☆

大正14年生まれで、医者をやってた人の本。

まぁ趣旨は分かるのだが、まとまりがなさ過ぎる気がした。
編集者さんがもっとなんとか出来なかったのか・・・

というかこの本、尼で検索しても出てこないんだが?
2012年の本なのに、バーコードがない?なんぞ?
もしかして、編集者もついてない?

という感じで、本としては微妙なんだが、
老人は若者にたかるな的な主張をする爺さんなので、
本以外の方面でがんばって欲しいな。

2016年3月23日水曜日

【読書メモ】『高齢者が働くということ』ケイトリン・リンチ (著), 平野 誠一 (翻訳)  ★★★

RETIREMENT ON THE LINE
age, work, and value in an American factory

人類学者である著者による、アメリカの高齢者を積極的に雇う会社を調査した本。
インタビューの他、実際に一緒に働いてみての体験し、分析をしている。
高齢者を雇うことが、企業の成長にも繋がっている実際の例として、参考になるだろう。

まぁ内容的にはとてもいいんだけど・・・長い。
この内容で400pageは多いと思うわ・・・
もう少しなんとかならない物か。

とりあえず、企業が高齢者を雇うことでプラスな面が幾つかあるようだ。
●安い賃金でも働いてくれる。
 (補助的な収入になる。働ければお金は二の次の人もいる。)
●社会保障費など、国に払う金が少なくてすむ。
 (年金や雇用保険的なものを払わなくていい)
●職業倫理感の強い人が多い。
●社会に貢献している会社として、よいイメージを得れる。
●珍しい会社として、メディアが取り上げてくれる。
●従業員同士が競争しないで支えあってくれる。
●フルタイムで働かせなくてよい。
●高度な知識や経験をもった人材を活用できる。

さらに、高齢者側にとってもプラスである。
●役に立っている感覚を得れる。
●お払い箱になったという感覚からの脱却
●同じような高齢者と活動できる。
●助け合いが出来る。
●社会的なつながりを持てる。
●長生きに繋がる
●運動能力の維持。ボケ防止
●収入が得れる。
●メディアの取材があれば、特別な感覚を得れる。

社会にとってもプラスである。
●労働力の確保
●死ぬギリギリまで、そこそこ健康で居てくれる。

しかし、社会としては下記のような懸念がある。
●お金が必要な若い世代の仕事を奪っている。
(主にネットでこのような批判がされていたらしい)
●国に払う社会保障費が少なくてすむ→労働市場的に不当な競争の要員
(日本でいえば、夫の扶養にとどまるパートの主婦なんかがコレだが)

また、企業として対応が必要な事もある。
●作業スピードはやはり遅い。
●人によってスピードや力、知識など、能力に大きな違いがある。
●フルタイムで働けない人も多い。
●柔軟な働き方への対応が必要になる。
(午後に孫を迎え意に行くため午前中のみ・・など)
●経済的にも、人により状況はまちまちである。
●雪が降ったら、ケガを恐れて出てこなくなる。
●ポリティカルコレクトにマッチしない。
(差別や偏見など、古い考え方の人が多い)
●新しい機械に抵抗を示す。
(パソコンはもちろん、FAXにすら抵抗を示す例が出ている)
●やりなれた作業はこなせるが、新しい作業にすぐに対応するのは難しい。
●高齢者を低賃金で働かせて、「搾取しているのではないか」という世間の目。
●近隣の高齢者しか使えない。

この本に出てきたヴァィタ・ニードルという会社は、
高齢者をクビにしたことがないと言われているが、
毎日入り口の19段の階段を上れる必要があり、(上れない=出社できない)
場合によっては、家族に「おじいちゃんはもう来ない方がいいかもしれない」と宣告はする。
また採用時には、何のために働くかなどを重視し、
会社に馴染める人をちゃんと選んでいる。

成功している理由にしても、
扱っている製品が多品種少量生産、技術的に高度な製品で
熾烈な競争にさらされていなかったり、
また、それらの製品を必要とする会社が比較的近隣にあるなど、地理的な優位点があり、
さらに、比較的教育水準が高い地域であることも上げられている。

まぁ、どんな高齢者でも役に立って働けるとか、
どんな会社でも高齢者を活用すれば上手くいくという、
バラ色な話にはなっていない。

また、この本でページを割いている内容として、
メディアの取材に対するお年寄りの対応や変化、
それ自体が報酬の一部として機能している事を書いている。
(個人的な感想としては、読み物として別の本に分けて欲しかったが)


一億総活躍社会とやらで、
これから、高齢者を活用していこうという日本としては、
実際に成立している例として読んでおくのはよいかも知れない。
(しっかし長い・・・)



2016年3月15日火曜日

【読書メモ】『あなたの中の異常心理』岡田 尊司 ★★★

まぁ普通。
三島由紀夫やら、ニーチェ、ヘミングウェイなどの作家や、
日本で実際に起こった事件で見られる精神異常者ぽい人を例にとり、
完璧主義など、その辺の人にも見られる心理や行動も、
過ぎれば異常な状態になっちゃうという本。

異常心理についていくらか知見がある人であれば、
そこまで新しい内容でもない。

しかし、「普通の人と異常とされる人の間は地続きである」という事を訴えは、
非常によくわかって広めるべきだとは思う。
そういう意味で、広くお勧めしておきたい本。

まぁその先に、世間で異常とされるものと普通とされるものは、
行為自体ではなく、世間の評価によるという見方もあったりするが、
その方向にはいっていない。

この本では、生活に支障が出てきたあたりを正常と異常の境目にしている。
心療内科なんかでの判断基準に近い感じ。
文化史やら社会学からの目線ではなく、あくまでも心理学的な見方での話の本。



2016年3月10日木曜日

【読書メモ】『若年者就業の経済学』太田聰一(著) ★★★★

数値からのまじめな解析の本。
社会学などでは気付けない事に気付かされる。

就業者と失業者の他に、主婦やニート、引退者など
働く気がない人も含めて取り扱うという事に気付かされた。

また、失業者というのは、就業者との出入りのほかに、
働く気がない人達との失業者への出入りもあり、
そこも含めて、失業状態へのフローを捉えないと、
失業率の解釈を見誤るという事に気付かされた。

具体的に言うと、主婦や、ニートを働く気にさせるような政策、
または引退している年寄りを働かせるようにさせる政策をすれば、
国の財政としてはプラスだが、「失業率」としては上がる事になる。
この辺は目からウロコ。

新卒時の経済状況による差は20代後半まで影響する。
(中高卒であれば10年くらいは影響する。)
給料額面だけではなく、最適な仕事に就けるかの機会面での影響もある。

経済状況の雇用数への影響は、
その時の景気が若年者、中高年の両方に同程度に影響するのに対し、
今後の見通しは、投資的な意味合いの強い若年者に大きく影響する。
そのため、景気がよくなる見通しが立たない長期不況の状態では、
若年者の採用が抑えられがちになる。
また、その傾向は大企業に強い。

以前に比べ、若年者と中高年の職業分布が似てくきており、置き換え効果がある。
大卒に対し高卒者でその傾向が強い。
高齢者の活用は国策としては必要だが、若年者雇用の面からはマイナス。
(この辺を踏まえると「一億総活躍社会」などで高齢者を働かせる政策は、
若年者雇用(特に高卒)の面では不利に働くのではないかと思わせる(あらだか感))
改正高齢者雇用安定法なども

若年者層の人口が少ない事は、コホート・クラウディング効果により、
若年者の雇用に有利に働くが、前述の中高年との置き換え効果と、
高齢者の人口が多いことが合わさり、効果は限定的となる。
むしろ、若年者の人口が少ない事が、高齢者の雇用促進や、
若年者との置き換え促進などの政策となり、結果的に不利になる。
(インサイダー・アウトサイダー理論による)
(この本では触れられないが、外国人労働者の受け入れなどもあるよね(あらだか感))

地方からの流出率は、近隣の受け入れ地域となっている都市の失業率に影響される。
その結果、地方の失業率は受け入れ地域の失業率に影響される。
近年、若者が地方に留まる傾向が見えるのは、失業率の高さによりそう。
非正社員率の高さは失業率には影響がない。
非正社員は離職率も高いが、非正社員への就職率も高いため。
(これ、短期的にはそうでも、将来的にみたら失業率高めそうなんだが。(あらだか感))

社内教育も、若年者の雇用と同じように投資と考えられるので、
その時点の景気にくわえ、将来の景気動向への予測が与える影響が多きい。

若者向け雇用対策プログラムのロジックやら留意点。

最近話題の「同一労働同一賃金」が進められた結果も、
今後に同様のアプローチで解析してほしいなと思った。



2016年3月8日火曜日

【メモ】IGES 5.3規格 おぼえがき

ちょっとした変換マクロを作りたいが、どうやら書籍は洋書しかないようだ。
しかも$100超えとか・・・ないわー。
ということで、ネットで調べて分かった事をメモっていこうと思う。

2. Data Form
・テキスト形式
 なのでメモ帳でも開ける。
・1行(1レコード)は半角80文字+改行コード
 OSによる改行文字のバリエーションがある?
 とりあえずCATIAで出力したIGESは/x0Aだった。
・1行80文字のFixed Formatの他に、Compressed Formatというものもある。
 とりあえずCATIA出力のはFixedの方だったので、そちらを前程とする。
・1~72はデータをあらわす。
・73文字目は、セクションを表す。
・セクションは順番が決まっており、S・G・D・B・Tの順。
・74~80はシーケンス番号
 各セクションの中で1から始まり1ごとの連番。
 7桁の数字は右詰で表し、上の位はスペースか0で埋める。

2.2.2データ型。この仕様は、フィールド値のための6つのデータ型を定義しています。1.整数(固定小数点)2.実数(浮動小数点)3.文字列4.ポインタ5.言語ステートメント6.論理かかわらず、データフィールドは固定または可変されているかどうかの長さの、以下のルールがデータ型に適用されます。ブランクは文字列フィールド内および言語の文の値です。他のすべてのデータのためにタイプは、完全にブランク(すなわち、空の)フィールドが「不履行」フィールドを示しています。ポストプロセッサは、数値フィールド内の先頭の空白を無視しなければなりません。数値フィールドは含んではなりません埋め込みまたは後続ブランクをどちらか。数値データ型は、符号付きまたは符号なしすることができます。署名された場合は、先頭にプラスまたはマイナス数の意味を決定します。符号なしの場合には、センスは負です。埋め込まれたカンマたとえグローバルセクションのフィールド1の変更を含んではならない数値データ型別の文字にフィールドの区切り文字。ファイルが国に由来する場合、このルールは適用されますここで、「コンマ」は実数で小数点として代わりに「期間」の使用されています。文字列フィールドまたは言語文がライン境界を横断することができます。これは彼らのために許可されています長さは1行で利用可能な使用可能な列の数を超えることができます。ときに文字列フィールドライン境界を横切る、その文字カウントとホレリス区切り文字( "H")が連続して表示されなければなりません最初の行に。文字列または言語の文の値は、最後に使用可能に続け現在行の列(すなわち、パラメータデータセクション内の列64に、列へ他のすべてのセクションの72)。フィールドは合計するまで、ライン(s)を次のように列1で継続します文字の量は、処理されます。

2.2.3.1パラメータとレコード区切り文字の組み合わせ。次のASCII文字
いずれかのグローバルパラメータ1(パラメータデリミタ)またはグローバル・パラメータとして使用されることから禁止されています
2(レコード区切り文字)彼らは、ポストプロセッサのための難しさを解析する原因になりますので。


2.2.4ファイル構造。ファイルがに連続出頭しなければならない6のサブセクションが含まれています
ファイル、介在空白行と、次の順序で:

a. Flag Section (Binary or Compressed Format files only)
b. Start Section
c. Global Section
d. Directory Entry Section
e. Parameter Data Section
f. Terminate Section


文字列型は、文字数+区切り文字H+文字列データ

グローバルセクションは、区切り文字やスケールなど、26項目のパラメータからなる。
省略はできない?

ディレクトリ・エントリセクションは8桁区切り。2行で1つ。
パラメータ・データセクションへのポインタの指示など?
表示非表示、線種、色とか
色は8色しかない?

パラメータデータセクションは、一切の座標データ等。
ディレクトリ・エントリセクションへのポインタもある?
パラメータデータセクション内で指示される他形状への参照は、
ディレクトリエントリセクションに対するポインタで指示される。

英文だが、コレがそのものぽい

2016年3月2日水曜日

【読書メモ】『社会を変える23章 そして自分も変わる』川田忠明 (著)  ★

いやぁ、まれに見るひどい本。
一方的な恣意的解釈を擦り込むような内容になっている。
初めの1章でダメだと思いつつ、全部目を通して、やっぱり時間の無駄だった。
(内容的にもだが、字数的にも中身が無いので、ダメージは少ないが)

リテラシーのある人が読めば、「なんだ?この本は・・・」ってなるし、
無い人が読めば、騙される。
読み手にとっては良いことなし。


活字に嫌悪感がありそうな人でも、なんとか読めそうにがんばってるのはプラス。
扇動方法の参考とするならプラス。

まずは騙されてみるのも、長い人生経験としてはアリなのでは?
って前程なら、高校生あたりに読ませてみるのは良いかもしれない?

まぁ良書悪書の解釈も、目的しだいだしな。