2016年5月11日水曜日

【読書メモ】『ミーム―心を操るウイルス』 リチャード・ブロディ(著) ★★★

ミームっていうのは、ドーキンスが名づけた情報伝達の単位。
しかし、この本はそういったミームの定義を説明していくような本ではない。

元マイクロゲイツのプログラマーである著者が、
人間の行動にミームがどのような影響を与えるか、
どのようなミームが生き残りやすいか、
どのようなミームが広まりやすいか、等々を説明する本。

そして最終的には、ミームとのかかわりは避けては通れないので、
主体性をもってミームに対処していこうって話になる。

そんな、アカデミックというよりは、プラグマティックな本。

この本的には「ミームという概念を一般社会に伝える」という使命もあるっぽい。
なので、
ミームそのものについて知らなくとも、
「人は新しい概念をインストールされたりすると見方や行動が変わる」
というような事を知っている人には、多少は冗長的な内容になっている。

っていうか長い。マジ。
400ページ超えとかなんなの?
ミームの概念説明部分をはぶいて200ページくらいにしてくれたら、
今でもそこそこお勧めできる本になるのに。
(原書1996年、訳本1998年と、そこそこ昔の本)

まぁ砕けた文章の本で、そんなビッシリな本でもないので、
疲れた頭でも読めるのが救いか。

メモ

動物が持つ基本的衝動(141page)
闘うこと(fighting)、逃げること(fleeing)、食べること(feeding)、
結婚相手を見つけること(finding a mate)
で、これらを「四つのF」という。

起源的ミーム(145page)
危機、使命、問題、危険、好機
これらを伝えるためにコミュニケーションが進化してきたこともあり、
これらを含めたミームは伝わりやすい。

二次的ボタン(154page)
属する、自己の区別、いたわり、承認、権力への追従
四つのFを満たすために、動物が進化させてきた二次的な衝動

より適応したミーム(157page)
伝統、伝道、信念、懐疑
これらを含んだミームは、生き残りやすいし、広まりやすい。

知っていることかどうか、意味が通じるかどうか。
これは、ミームが広がるかの土壌的な重要項目。

性のボタン(203page)
主に男性編:権力、優位、好機
主に女性編:安全、責任、投資

*デビッド・バスは著書『The Evolution of Desire(欲望の進化)』の中で、
いくつかの研究結果を示し、男と女で嫉妬を感じる原因の違いについて論じている。
彼の研究では、男性の六○パーセントは、妻がほかの男と肉体関係を持つくらいなら、
精神的な深いつながりを持ってくれた方がましだと考えており、
逆に女性の八三パーセントは、夫がほかの女と精神的結びつきを持つ
くらいなら肉体的不貞を働いてくれた方がましだと考えている。(209page)
マジすか。

恐怖とそれに関係するもの(219page)
子供を助ける、同類の人、人種差別、エリート主義

ギャンブルの心理学(222page)
一か八かの試みを重視する、安保険、傾向に従う
傾向に逆らってプレイする
負けているときにはケチになり、勝っている時には気前がよくなる
直感で勝負する

都会の伝説(226page)

迷信(228page)

過去の恐怖(231page)

ミームの感染ルート(237page)
条件づけ、認知的不協和、トロイの木馬、
質問を投げかける、価値を作り出す、締めくくり、決め手の質問
親密な関係と写し出し、信用ゲーム

宗教ミーム(334page)
伝統、異端、布教、意味をなす、反復、安全、危機、食べ物、性、問題、優位、属する


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