『本の歴史』ではなくて『本棚の歴史』なのがポイント。
タイトルを見ただけでビビッっと購入。
言われてみれば当たり前なのだけれど、昔は本ってかなり貴重だったんですよね。
写本だと、数ヶ月~数年をかけて1冊が作られるわけで、
当然、今のような万引きされまくりな本棚じゃないですよね。
さらには、人工照明の無い時代には、採光は大きな問題だった。
本棚をどう設置するかで、建物の設計も変わる。
そんな感じで、本棚の歴史は本の歴史であり、
さらには図書館などの建物の歴史でもある。
著者のヘンリー ペトロスキーさんは、
『橋はなぜ落ちたのか』等を書いている、土木工学の専門家であり、
建物の解説はさすがである。詳しく、分かり易い。
そのおかげで、本棚が置いてあった環境が想像でき、
その本棚の前に立った時に見えるであろう景色をも
思い浮かべることが出来る。
また、失敗学の大家で、歴史に学ぶことを提唱している人なので、
歴史的経過も分かり易く、自然に理解できる。
様々な本棚が紹介されるが、
それらは、その時代当時の問題解決のために、
必然的に、なるべくしてその形になっている事がわかる。
また、「部屋の角の、両方の壁に本棚を設置する際にどうするか?」など、
今でも身近な問題な話もある。
昔の人も同じような事で悩んでいたと思うと、親近感を覚える。
今の形で、当たり前に存在している本棚だけれど、
いろいろと歴史を刻んできてるんだなぁと改めて思う。
また、それは人類の歴史でもあり、
本好きなら、本棚の歴史を通して人類も好きになれる。
そんな一冊。
0 件のコメント:
コメントを投稿