簡単に言ってしまえば、
ポッジョという人が、キリスト教が発生する前に書かれた本を1417年に発見し公開。
教会の教えのみが真実とされた時代において、
宗教的思想に縛られない自由な思考の末に書かれた『物の本質について』という本は
インパクトがある代物で、シェークスピアを始め、ルネサンス期に多大な影響を与えました。
そんな話。
注釈やらを含まない本文327ページまで。
当時の状況の説明や、基礎知識の説明4割
発見者のポッジョについての3割
後の影響について2割
『物の本質について』の内容について1割
そんなところじゃろうか
そこそこ分厚い本。
訳は、最近あるやさしく書き直した感じではなく、
原文の味を損なわないようにした感じ。
ずいぶんと肺活量があるんすね的な長ったらしい文もあるが、
まぁあるていど本を読みなれていれば問題ないだろう。
時代的には、ルターやら、宗教改革やら、
『チーズとうじ虫』のメノッキオが焚刑に処される100年前くらい前。
(そういえば、メノッキオの話もイタリアだったな)
無神論的内容や、教会の教えに反する内容を含む『物の本質について』は
もちろん危険な内容であり、禁書目録に指定されそうになりながらも、
美しいラテン語の詩としての価値から生き残り、さまざまな人に読まれる事になる。
この本で取り上げられていた内容
231page~・万物は目に見えない粒子で出来ている。
・物質の基本となる粒子は─「事物の種子」─永遠である。
・基本となる粒子の数は無限であるが、形や大きさには制限がある。
・全ての粒子は無限の真空の中で動いている。
・宇宙には創造者も設計者も居ない。
・万物は逸脱の結果として生まれる。
・逸脱は自由意志の源である。
・自然は絶えず実験をくりかえしている。
・宇宙は人間のために、あるいは人間を中心に創造されたのではない。
・人間は唯一無二の特別な存在ではない。
・人間は平和で豊かな黄金時代に始まったのではなく、
生き残りをかけた原始の戦いの中で始まった。
・霊魂は滅びる。
・死後の世界は存在しない。
・われわれにとって死は何ものでもない。
・組織化された宗教はすべて迷信的な妄想である。
・宗教はつねに残酷である。
・天使も、悪魔も、幽霊も存在しない。
・人生の最高の目標は、喜びを求め、苦しみを減ずることである。
・喜びにとって最大の障害は苦しみではなく、妄想である。
・物の本質を理解することは、深い驚きを生み出す。
小さな粒子って考えの原子論は、デモクリトスさんの考えが受け継がれてる感じ。
喜びを求めろってのは、ストイックなストア派と対立していたエピクロスさんの考え。
ルクレティウスさんの偉いところは、誰でも読めるべきだよ!って
原子とかって専門的な言葉を使わずに、さらに美しい詩にしたてあげた事。
とはいえ、聖職者以外は聖書を読めない方が良いって人たちのせいで
識字率はとてつもなく低かったし、さらにラテン語で書かれているもんだから
15世紀においては読める人は一部に限られてしまった模様。
まぁそれが今じゃ日本語でも読めるんだから、いい時代になったし
みんな良い仕事したよほんと。
詩について
「詩そのものは、その信仰の内容ゆえに、われわれの信仰とは相容れないものだが、それでも詩は詩である」 「ただの詩か?いやむしろ優雅な詩、すばらしい詩、
賢明な人なら誰もが注目し、評価し、賞賛する詩である」
318page
そんな形容されてるけど、よくわからん。
まぁ内容も大事だけど、生きながらえたり、広く見てもらうためには形式も大事だよね。
東方のシューティングなんかも、曲を聴いてもらいたいからゲーム作ったんだっけ?
そういうの大事だなと。
まとめ
全体の半数以上を占める状況説明やらが長ったらしいが、その発見がどんなに奇跡的なことか、どんなに意義があることかを
分かってもらうためには必要なんだろうなと思う。
個人的には、そこも含めて楽しめたから良いけれど、
日本語でいう冒険ロマンの物語を求めている人には退屈でキツイ内容だろうな。
いやまぁ文字通りロマンの話なんだけどさ。
目次
中身
本に載ってるポッジョさんの写本の一部。
これが手書きとかポッジョさんパネエ。(他にも写真が数点あり)
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